第3章「快楽と幸福について」〔注解的続編〕(7)
〔注解的続編〕(7)
快楽としては、他に、酒やタバコや大声で騒ぎたてることが一緒になっている遊びに多くの人々があけくれている。
しかし、それも節度を超すと、人生を誤りやすい。何故なら、酒もタバコも、理性の目覚めを妨げ、あえて理性にふたをする行為であるからである。
故に、酒に酔えば酔う程に、タバコの煙を吸えば吸う程に、理性の世界から心が遠ざかってゆくのである。
大声で騒ぎたてることも、声なき理性の声を隠してしまうのである。
このような快楽に人生の時間を多く使いすぎると、魂にとっては堕落となってゆく。そして、いつか、最も大切な理性さえも見失ってしまう。
理性は、静かで平安で落ち着きのある中に目覚めてゆくものなのである。
故に、できるだけ静寂な時間を理性のためにとってゆくことこそ、真なるストイシズムであろう。
(つづく)