理念哲学講義録  天川貴之

真善美聖の「理念哲学」の核心を、様々な哲学的テーマに基づいて、わかりやすく講義したものです。

第9章「経験と叡智的直観について」第4節(1)    天川貴之

 第4節 統合理性について(1)

 

 西洋や現代における直観の定義というものは、感性の領域を主として捉えられているようではあるけれども、深い直観というものは、実は、五感の感性の働きを越えて、深い理念そのものから湧き出して止まぬところの「理性」に、その源を発しているものである。

 理性が真理を直観するのであり、理性が理念を直観するのであり、理念が理念を知るのであり、理法が理法を知るのである。

 理念、理法が真として顕われたものを直観する働きを主として「哲学」と呼び、善として顕われた理念、理法を直観する働きを主に「道徳」と呼び、美として顕われた理念、理法を直観することを「芸術」と呼び、聖なる形をとって現われた理念、理法を直観することを「宗教」と呼んでも良いのではないかと思う。

 しかし、理念は一つであり、真、善、美、聖、哲学、道徳、芸術、宗教に分かれているものであっても、その源は一つである。

 究極の実在は、永遠普遍なる実在であって、一なるものである。一なるものに、様々な角度から視点をかえてアプローチし、様々な姿に観えているに過ぎないものが、真、善、美、聖なのである。

 すなわち、真は即善であり、善は即美であり、美は即聖であり、そして、すべてのすべては一つであり、光であり、叡智であり、理法であり、宇宙の命である訳である。

 

(つづく)

 

 

 

 

(by 天川貴之)