第9章「経験と叡智的直観について」第4節(2) 天川貴之
第4節 統合理性について(2)
こうしたものをすべて統合するものは、理性であり、それを、「統合理性」と呼んでも良いものであり、この統合理性の中には、今まで深い感性と呼ばれていた直観もまた含まれるということを定義しておきたい。
即ち、合理的であることが、即ち直観的であり、直観的であることが、即ち合理的である。論理的であることが直観的であり、直観的であることが論理的であり、神秘的なるものが論理的であり、論理的なるものが神秘的である。このように言えるのでないかと思う。
我々が今まで論理的思考と呼んでいたものも、それだけでは充分ではなく、また、直観的思考と呼んでいたものも、それだけでは充分ではなく、理と、情と、意と、ありとしあらゆる人間の心の作用は、統合理性の作用であると言い換えても良いのである。
そして、統合理性の観点から見たならば、すべてのものは、一なる論理によって出来ているものであり、同時にそれは、直観によって直視出来るものであると言えるのである。
(つづく)
by 天川貴之