第9章「経験と叡智的直観について」第8節(3) 天川貴之
第8節 叡智的直観について(3)
まず、直観ありきである。叡智的直観からすべては始まる。
あらゆる経験や知識を越えて最も尊いものは、仏教では般若の智慧と呼ばれているが、哲学もまた、般若の理性というもの、純粋理性というものが最も尊いものである。
叡智を直観すること、叡智を叡智的直観によって直視し、悟ること、そこから、その人の人生は真に開けることになる。
解らないから出発して、叡智的直観によって如実に解るという境地に到達し、もしくは、間接的に解るという境地に到達し、それを、論理によって体系的に説明し、古今東西の知識に基づけてそれを説明し、更には、経験の中にそれを応用し、経験を通して、真理が真理であること、理念が理念であることを実証し、そして、万人に証明してゆくこと。
これが、新時代の哲学者のあるべき姿であり、学者のあるべき姿であり、思想家のあるべき姿であり、言論人のあるべき姿であり、人間のあるべき姿である。
(つづく)
by 天川貴之