理念哲学講義録  天川貴之

真善美聖の「理念哲学」の核心を、様々な哲学的テーマに基づいて、わかりやすく講義したものです。

2018-05-01から1ヶ月間の記事一覧

第2章「運命と自由意志について」【注解的続編】(2)

【注解的続編】(2) ⑤ 絶対的運命論という観点からいえば、古代ギリシャにおいては、かかる思想が優勢であったといえよう。その代表的作品の一つが、本論文の冒頭でとりあげたソフォクレスの『オイディプス王』である。 そもそも戯曲というものは、作者が…

第2章「運命と自由意志について」【注解的続編】(1)   

【注解的続編】(1) ① 本論文における哲学用語としての「超越的実在」は、宗教用語としては造物主(神)の概念にほぼ相当する。それは、大宇宙を統べる叡智であり、理性そのものであり、善そのものである存在である。 ② 人間は、理性を有している点で超越…

第2章「運命と自由意志について」第6節(2)    天川貴之

一方、本来、理性を有するにもかかわらず、世界に悪と見えしものが数多く創造されているのは、ある意味では、人間に自由意志がある証拠であるが、人間独自の罪であるといえよう。 しかし、理性的人間は、本来理性に向かうように、「かくあるべし」の本性を有…

第2章「運命と自由意志について」第6節(1)    天川貴之

ところで、人間の運命というものは、どの程度決定されているのであろうか。その際に大切になるのは、個人個人が宿している理念に、どれ程忠実に自己実現できたかということが大きいのである。 また、精進によって、理念をより一層顕現させてゆけばゆく程に、…