理念哲学講義録  天川貴之

真善美聖の「理念哲学」の核心を、様々な哲学的テーマに基づいて、わかりやすく講義したものです。

2020-03-01から1ヶ月間の記事一覧

第7章「知識と叡智について」(2)

第2節 知的生活の意義について このように、知的探究をしてゆくにあたっては、何よりも知の質というのが大切になってくるのである。そして、真なる知を学ぶことによって、真なる知者となってゆくことが大切なのである。 ここでいう真なる知者とは、真に学徳…

第7章「知識と叡智について」(1)

第1節 真の知と真の知者について 知識と叡智について論じてゆきたい。 現代は、歴史的にみても、非常なる知の時代であって、膨大な量の知識が情報として飛び交っている。大型書店にいけば、毎年毎年、大量の本が出版されては、大洪水の如く氾濫し、すぐ様、…

第6章「厭世観と楽天観について」〔注解的続編〕(6)

〔注解的続編〕(6) ⑰ この点、仏教哲学は、「一切皆苦」(他、四苦八苦の真理など)という現象の真理と、「一切衆生悉有仏性」という理念の真理との両方が述べられているといえよう。 「一切皆苦」の現象の真理は厭世観的であるが、「一切衆生悉有仏性」…

第6章「厭世観と楽天観について」〔注解的続編〕(5)

〔注解的続編〕(5) ⑮ ショーペンハウアーの「意志の否定」とは、煩悩の自我の否定のことである。 本論文では、単純否定の厭世観の境地から、絶対肯定の楽天観の境地まで、弁証法的観点から一躍に進展するように述べているが、実は、その前にどうしても透…