理念哲学講義録  天川貴之

真善美聖の「理念哲学」の核心を、様々な哲学的テーマに基づいて、わかりやすく講義したものです。

2020-06-01から1ヶ月間の記事一覧

第8章「現象と理念美について」(3) 天川貴之

第3節 シェリング哲学と現象と理念について このように、人間の精神と自然の内に、理念(絶対者)を叡智的直観によって認識できるとした哲学者にシェリングがいる。 シェリングの同一哲学は、人間と自然に同じ絶対者を見い出すことによって、人間と自然と絶…

第8章「現象と理念美について」(2) 天川貴之

第2節 カント哲学と叡智的直観について カントは、『判断力批判』の中で、この自然の奥なるものについて、「合目的性」という観点から解釈している。 しかし、主観的構成論の認識的立場から、人間の認識に限界を認め、自然の合目的性や美というものは、客観…

第8章「現象と理念美について」(1) 天川貴之

第1節 デカルト哲学と自然美について 現象と理念美について述べてゆきたい。 まず、美というものを、自然美と芸術美に分けて洞察してゆきたいと思う。 自然美についてであるが、何故、自然の内に美を見い出すことができるのかということについて考察したい…

第7章「知識と叡智について」(12)天川貴之

【注解的続編】(2) ④ ヘーゲルの絶対知とは、理念(絶対者)と自己とが一体であるという認識であり、真の意味で、理念(絶対者)そのものを知ることである。かかる知は、叡智の段階であるといえる。 彼は、歴史上の全哲学を自己の哲学的体系の中に位置づ…