理念哲学講義録  天川貴之

真善美聖の「理念哲学」の核心を、様々な哲学的テーマに基づいて、わかりやすく講義したものです。

2020-01-01から1ヶ月間の記事一覧

第6章「厭世観と楽天観について」〔注解的続編〕(2)

【注解的続編】(2) ⑤ 楽天観の代表であるエマソンは、よくエマソンの本質を知らない人々から、人生の不幸や苦悩をあまり体験しなかった方であると思われがちである。これは、楽天観を持つ人々について一般的にいえることであろう。 しかし、実際にエマソ…

第6章「厭世観と楽天観について」〔注解的続編〕(1)

〔注解的続編〕(1) ① 楽天観においては、人生の明るい面、世界の明るい面を強調して洞察してゆく傾向があるが、これは、近代アメリカを中心にして思想潮流となった光明思想と軌を一にする考え方である。 ② 光明思想は、「類は友を呼ぶ」という心の法則に…

第6章「厭世観と楽天観について」第6節

第6節 大楽天観の哲学 究極の絶対者の御心は、遠大で深遠で、何故にかくの如き人間と世界を創られたのかは充分に忖度しえない。 しかし、徹底的なる叡智と愛の実在であられるから、必ず、地上の人生と世界の形式の裏には、遠大で深遠なる意志があられるはず…

第6章「厭世観と楽天観について」第5節

第5節 苦悩と絶対者の意図 さらに、「人生と世界の本質は苦悩である。」という見解についても、より高次なる立場から解釈しておきたいと思う。 「人生と世界の本質は苦悩である。」ということは、通常の煩悩の内にある人間にとっては真理である。 この原理…