理念哲学講義録  天川貴之

真善美聖の「理念哲学」の核心を、様々な哲学的テーマに基づいて、わかりやすく講義したものです。

2019-01-01から1年間の記事一覧

第4章「存在と実在について」第5節(1)    天川貴之

第5節 イデアの属性としての崇高なる感情について(1) さて、この真実在たるイデアの属性として、愛と夢と情熱などの崇高なる感情について洞察してみたいと思う。 これらの感情もまた、真に実在性を帯びて認識し、実感できるためには、この世的欲望から自…

第4章「存在と実在について」第4節  天川貴之

第4節 イデアの認識について さらに、第三段階として、この内奥にある所のイデアを認識するという段階がある。この世的なるものが、すべて夢幻の如く観えてきた時に初めて、その奥に、真なる実在であると思えるものが認識されてくる。 それはあたかも、今ま…

第4章「存在と実在について」第3節  天川貴之

第3節 無執着の認識について 第二段階として、我々の地上的なる欲望を統御して、地上的なる執われから自由になった段階である。ストア哲学の意図する所も、地上的な欲望から精神を解放することであって、それこそが、真なる幸福の道であるといわれているの…

第4章「存在と実在について」第2節  天川貴之 

第2節 通常の認識について まず、第一段階としては、我々の通常の存在の認識である。 我々は、地上的なものに執われた認識をしている。 例えば、まず何よりも物質に執われ、この世的なる存在が全てであるかのような世界観に執われ、また、地上的な欲望とし…

第4章「存在と実在について」第1節  天川貴之 

第1節 本当に「有るもの」について 存在と実在について述べてゆきたい。 存在とは有るものである。しかし、プラトンの時代から、本当に「有るもの」といえるものは何かという問いが発されつづけているのである。 通常の我々の意識においては、地上世界にお…

第3章「快楽と幸福について」〔注解的続編〕(9)

〔注解的続編〕(9) ① 本論文の中で、「大自然の摂理にかえれ」という言葉がでてくるが、この考え方はストア哲学にもあるが、近代のルソーの説えた「自然にかえれ」という考え方と本質的に一致する。 ルソーは、パリの社交界において最大の寵児であったが…