第5章「唯物学術と理念学術について」(4)
第4節 新時代の「理念哲学」について
こうした学問潮流の背景にあって、現代の唯物的社会を変革してゆくためには、新しき観念論哲学を興隆しなければならないといえる。
そこで考えてみるに、プラトンのイデア論とカントの物自体論とを止揚統合したヘーゲルの理念哲学をさらに新時代に向けて発展させた「理念哲学」が必要であるといえるのである。
「理念」とは、永遠の価値である。理念とは、永遠の法則である。理念とは、真善美聖である。理念とは、実在である。理念とは、光である。理念とは、絶対者の御心である。
このような「理念」に目覚め、それを体現してゆくことこそ、人間の使命である。人間が真なる自己の生命に目覚めるとは、自己の理念に目覚めることだからである。
このように、理念とは、神性として、一人一人の心の内奥に宿っている実在である。それは、大いなる天命であり、大いなる夢であり、唯一無二のその方の個性そのものである。
(つづく)