第5章「唯物学術と理念学術について」(6)
第6節 理念社会の実現について
そして、かかる理念思想の流布と確立によって、社会は、国家は、世界は、史上最高最大最深のユートピアとなってゆくのである。
このような理念型ユートピアにおいては、政治も経済も教育も家庭も、崇高なる理念によって運営され、その中で、人間は限りなく自己の内なる理念の夢を開花させ、生長させ、そうした人々の集まりである社会も、数多くの理念の夢の華の咲きそろう花園となってゆくであろう。
また、国家としての固有の理念も顕現し、国家は真の国家となり、また、世界としての新時代の理念も顕現し、新世界が誕生してゆくのである。
このように、理念とは、すべてのものの中心にあり、理念を中心としてすべてのものが回転してゆく姿こそが、完成された学問のあり方なのであり、学問の展開したる人間社会のあり方なのである。
新時代の精神は、明らかに「理念の革命」を要請している。もはや、唯物学術の時代は終わったのである。
理念学術体系が確立され、理念社会が地上に実現してゆくことこそ、これからの新時代のビジョンなのである。
(つづく)