理念哲学講義録  天川貴之

真善美聖の「理念哲学」の核心を、様々な哲学的テーマに基づいて、わかりやすく講義したものです。

第5章「唯物学術と理念学術について」(14)

 【注解的続編】(8)

 

十、「理念生物学」について

 

• ダーウィンの進化論は、マルクス唯物論的経済学と同じであって、生物界の中に「発展の法則」を見い出されている点は評価できるが、「理念」が不在である点が誤りであるといえるのである。

 生物界も、人類の歴史と同じく、絶対者の「理念」、絶対者の「摂理」が支配しているのであり、かかるものによって、進化発展の歴史が育まれてゆくのである。

 

• しかも、その歴史とは、「生存競争による自然淘汰」というようなものに本質があるのではなく、自然界に対する絶対者の計画にこそ本質があるのであり、これも、経済学と同様、各生物の理念的弁証法によって進化・発展してゆくとみることもできるのである。


• 生物の遺伝子とは、生物の理念の影であって、理念が現実に投影されたものである。

 こうして、「イデア論」的生物学、「理念論」的生物学は、新しい「理念進化論」によって新生するのである。

 

 


十一、「理念化学」について

 

• 原子が集まって分子をつくり、そして、有機体をつくってゆくが、これは、それぞれ、まず「原子の理念」「分子の理念」「有機体の理念」があった後のことであり、かかる理念があるからこそ、理念の影としての物質は、すべて普遍的構造を示すのである。

 

• 「理念」とは、素粒子から大宇宙にいたるまで、すべてのものの中にあり、それは、一なるものであると同時に、多なるものとして実在し、分化しているのである。

 

• 物質の本質は「空」にある。故に、化学の世界においても相対性理論があり、同時に、「理念」に関しては絶対性理論がある。

 

 

(つづく)