理念哲学講義録  天川貴之

真善美聖の「理念哲学」の核心を、様々な哲学的テーマに基づいて、わかりやすく講義したものです。

第5章「唯物学術と理念学術について」(15)

 【注解的続編】(9)

 

 十二、「理念数学」について

 

• 数学の基本概念は、すべて先天的なもの、すなわち、「理念」である。例えば、数字の一つ一つにしても、三角形にしても、すべて理念である。

• すなわち、現象的な数や形の背景には、まず理念的な数や形が実在し、その影として、地上に数や形があらわれているのである。

• 故に、数学の認識は、人間の内なる先天的な理性に基づくといえるのであり、数学の存在は、人間精神の先天的理性と物質の背後にある理性的根拠の存在を導くものなのである(数学と認識論)。

• かつてピュタゴラスは、「万物の根源には『数』がある」といわれたが、これは、「万物の根源には『理念』(法則)がある」ということと本質的には同一である。

 何故なら、数の原理によって法則が規定されているからであり、数の変化が量の変化、そして、質の変化を規定しているからである。故に、数とは、法則の源であるといえるのである。

 神は、世界を「数」の法則によって創られたのである。すなわち、「数学によって世界は創られた」「はじめに数ありき」ともいえるのである。

 


 十三、「理念医学」について
 
• 理念医学の着眼するべきことは、人間の内には理念があり、この理念には、「健康」という属性があり、この理念を活性化させてゆけば、自然治癒能力を充分に発揮して、病は癒えるということである。

• 理念を活性化させるためには、反省によって心を浄化し、心の内奥なる理念を光輝かせてゆくことである。

 また、その理念を、現象を超えて直視し、「健康そのもの」の姿を観ることによって病を癒やすことも、心の法則上可能なのである。

 

(つづく)