第10章「時空と絶対無について」第4節(2) 天川貴之
第4節 「無」の本質について(2)
すべてのすべてである、「無」。
「無」であるということは、「有」としてのあらゆる限定をはずしたということである。あらゆる個性的限定をはずすと、あらゆる個性を超えた「無」になる。
Aという立場も、Aという立場がある限りは、無ではない。Bという立場も、Bという立場がある限りは、無ではない。
光という立場も、光がある限りは、無ではなく、闇という立場も、闇という立場がある限りは、無ではなく、影という立場も、影という立場がある限りは、無ではない。
喩えるならば、光の中にある七色の光であっても、その七色の、たとえば、白という立場がある限りは、その源である無である立場にはなりえない。赤である、という立場をとる限りは、その本源なる無にはなることは出来ない。青であるという立場をとる限りにおいては、その本源である無に立ち還ることは出来ない。
(つづく)
by 天川貴之
(JDR総合研究所・代表)