第6章「厭世観と楽天観について」〔注解的続編〕(3)
〔注解的続編〕(3)
⑨ 日本においても、明治から昭和にかけて、谷口雅春という光明思想家がいた。彼の根本思想は、唯神実相哲学である。
唯神実相哲学とは、人間の実相は神であるという思想であり、その点で、エマソンと共通である。
このように、本当の楽天観とは、自己の内に絶対者(神)を観ずることに原点があるのである。
⑩ 楽天観、すなわち、光明思想の大きな論拠として、「光明」や「幸福」などは絶対者が意志されて創られたものであり、積極的な存在意義をもつが、「闇」や「不幸」などは人間の自由意志の産物であり、迷いの産物であり、偶然の産物であるから、消極的な存在意義しかもたないという考え方がある。
また、「闇」は実在でなく、「光明」の不在であり、「光明」を灯せば、「闇」は自ずから消える。「不幸」も実在でなく、「幸福」の不在であり、「幸福」を獲得すれば、自ずから「不幸」は消えるという考え方もある。
これは、エマソン、プロティノスなど、多くの楽天観の哲学者達が述べておられることである。
(つづく)